2011 Interview Vol.02

Creator: トリバタケハルノブ

今回は、イラストレーター/漫画家として活動されているトリバタケハルノブさんにインタビューを行いました。
トリバタケハルノブさんは「トーキョー無職日記」を書籍化され、現在でもブログ『むつみ荘101号室』で続編も連載されており、自伝的私漫画とでもいうべき作風は多くの読者の共感を得ています。

様々な迷いの中で人との出会いに恵まれ、イラストレーターとして独立し、今尚精力的に活動をされているトリバタケハルノブさんに、漫画への思い・仕事への思いを伺いました。

トリバタケハルノブさん 自画像

-こんにちは、よろしくお願いいたします。

トリバタケハルノブといいます。普段はイラストレーターとして生活しています。
三重県伊勢市出身、東京都三鷹市在住の35歳。
既婚者です。

-現在の創作状況について教えてください。

むつみ荘101号室は前半が「トーキョー無職日記」として書籍化され、現在は第二部として後半を漫画用ブログにアップロードしています。
今のところ更新頻度は4コマを週に3本前後。本業が忙しくなると更新が止まることがあります。

COMEEには既にブログに発表したものを50本ずつアップしていますが、更新頻度が低くなるので今後はもう少し短いスパンでと考えています。
メインで更新しているブログのほうでは、近況絵日記的な漫画を描き始めました。
(「コブラクロー」http://cobraclaw.com)

-漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

漫画は小学生のころに夢中で描いていましたが、中学生になると熱が冷めてしまいました。
高校、大学と進みましたが、そのまま就職する気になれず、独り暮らしの部屋に引きこもってしまいました。
その頃昔漫画を描いていたときの気持ちを思いだし、後に中退する言い訳として、両親に「東京に行って漫画家になりたい」という話をしました。

上京後少し漫画を描いてみましたが付け焼き刃ではうまく行かず、web制作会社のアルバイトを経てイラストレーターになり、仕事のひとつとして短い漫画を描くようになりました。

-そのような中でどのようにして『むつみ荘101号室』を書き始めたのですか?

イラストレーターとして短い漫画の発注が増え始めたので、練習のために4コマ漫画を描き、モチベーション維持のためブログに発表することにしました。
ストーリーを考えるのが気恥ずかしかったので、自分の過去を振り返る漫画を描き始めました。
最初はイラストラフの裏紙にボールペンで描いていました。

引きこもり~アルバイト時期を選んだのは、自分が両親より早く死んだ場合、家を出てから自分の人生にどんなことがあったのかを知って欲しいと思っていたからです。

-読者の反応はいかがでしたか。

書籍化されたころ、40代、50代の方からメールやお手紙をいただいたのが印象に残っています。
どの時代にも迷ってる若い人はいたんだなあと不思議な連帯感がありました。

-絵の作画方法はどのようにしてらっしゃいますか?また作業環境も教えてください。

ラフをコミックスタジオで描いてjpgで書き出し、主線をイラストレーターでトレース、フォトショップで着色(白黒ですが)を行います。
もっとスムーズな方法があるとは思いますが、ボールペンでのラクガキから始まりいろいろな方法を試した結果、このような形に落ち着いてしまいました。
アイデアは基本的にEVERNOTEを使ってまとめていますが、うまくまとまらないときはA4のコピー用紙に手書きです。

作業部屋は自宅で、妻と共同の仕事部屋です。
机は無印良品の幅150cm、奥行き60cmのもの。PCはimac、タブレットはwacomのintuos3です。 お金に余裕があれば新しいmacbookとペンタブレットがもう一つ欲しいです。
実家に帰省したとき作業ができるように。

-好きな漫画・好きな作家などいらっしゃいますか?

風雲児たち、へうげもの等歴史物をよく読みます。
好きな作家は藤子不二雄F、鳥山明、Mike Mignola 、Jamie Hewlett。
憧れの作家は(イラストレーターになりますが)、和田誠さん、安西水丸さん、長崎訓子さん、きはらようすけさんです。

みなさんイラストレーションの手法のひとつとして漫画的表現を使っているイラストレーターで、自分としてはこちらに寄っていきたいと考えています。

-漫画を描く上でどのような所に苦労しますか?

ラクガキのようなタッチなので描いている時は楽しいだけですが、漫画を描く時間をどう捻出するか、ということに苦労します。
一番いいのは仕事にすることですが、難しいです。

-今後、こんな漫画が書きたい!などありましたら教えてください。

旅や日々の生活の記録を漫画にしていきたいです。
ネット上に発表の場を作り、ノートパソコンとペンタブレットを持って旅をしながら、その日あったことを漫画に描いて暮らす活動ができないかなと妄想しています。

あと、いつか歴史ファン以外が楽しみながら学べる歴史物を描きたいと思っています。

-最後に、最近話題の電子書籍に関して何か期待する事はありますか?

ipad等の大型リーダー以外に、iphone等スマートフォンに特化したモノに期待しています。
例えば満員電車で読みやすいよう、ページ送りやコマワリにこだわらないひたすら縦にスクロールする漫画や、イラストの連作のようなものなどです。

お忙しいところありがとうございました。イラストレーターとしての地位を築きながら 漫画への情熱を持ち続けているトリバタケハルノブさん。むつみ荘の主人公ハルオがこれからどのようにして成長していくのか、COMEE編集部としてもとても楽しみです♪

トーキョー無職日記(むつみ荘101号室第1部)

トリバタケハルノブさんの作品

トーキョー無職日記(むつみ荘101号室第1部)

逃げ続けた先にあったのは現実逃避の無職の日々?そんな彼が様々な人々に出会うことで少しずつ変わっていく。ウェブで大きな共感を得たコミックの試し読みです

この作品を読む→